支援学校暴言 「校長圧力で一度取り下げ」 60代講師被害申し出へ
毎日新聞 2019/11/8(金) 9:37配信
大阪府立の特別支援学校に勤務していた30代の男性教諭が複数の同僚に暴言を吐き訓戒処分となった問題で、中学部でこの教諭と一緒だった60代の男性講師が、新たに府教委に被害を申し出る準備を進めている。男性講師は一度は当時の校長に被害を訴えたが、圧力的な調査をされたため、取り下げたと主張。近く、暴言の被害と校長からの圧力を府教委に文書で申告し、公正中立な調査を求める考えだ。
府教委は、2012〜14年度に男性教諭が女性教諭4人に「とにかく謝れや」などと暴言を浴びせたと認定。このうち急性ストレス障害と診断された50代の女性教諭が昨年3月、府と当時の校長に計600万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴し、裁判が続いている。
同校に勤務していた複数の教諭らは今月1日に開いた記者会見で、14年8月に校長からの聞き取りを受けた際に、「ずっと経歴に残る」などと言われたため、圧力に感じたと証言した。
男性講師らによると、13年5月に男性教諭から「小学部にいろ」などの暴言を受けたという男性講師や別の複数の教諭らが、校長の圧力を理由に被害を取り下げたとしている。男性講師は、女性教諭の裁判の経過を見るうちに、責任を認めようとしない当時の校長や府教委の姿勢にいらだちを感じたと話している。
府教委は「(当時の)校長からの報告で被害者は4人と聞いている。本人から府教委に直接訴えがない限り、調査は校長の報告に基づいて行う」との説明を繰り返している。
男性講師は取材に「本人が名乗り出れば府教委として調査するというのなら、被害を訴えようと思う。校長の圧力的な発言を把握しているのに十分に調査しなかった府教委には、被害を訴える側の負担や苦痛を重く受け止め、次こそ誠実な対応をとってほしい」と話している。【石川将来】